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新井 素子

角川書店

グループ:Book

ランキング:41217

価格:¥ 2,625

ポイント:26 pt

発売日:2007-12

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星新一を新しいものとして読めてしまう現在って実は不幸なのかもしれない  (2008-02-10)
 中学生のころ愛読した星新一を今回30年ぶりに再読した。あのころの自分にすぅーっと戻ったような不思議な感覚。30年も前の文学作品を読めば、普通は、その時代背景、悪く言えば古臭さをどうしても客観的に捉えてしまうものだけど(それが面白くて読む場合が多いわけだけど)、星新一の場合、読後感が当時のまま、のような気がするのだ。これは作者の「時事風俗は書かない、固有名詞は書かない、性や殺人は描写しない、などの自己規制」によるものだとは思うけど、普遍性ってのとはちょっと違う気がする。時代を超えて生き続ける「古典」っていうのとは違って、冷凍人間とかタイムトラベルといったSF的なメタファーがしっくりくる、つまり、過去のものが過去と認識することなしに現在に再現される、といったような奇妙な読後感。
 それと関係するのかもしれないけど、SFがいま流行らないのって、もう未来に希望が持てない、現在の延長線上以外の未来ってものを想像出来ないからだよね。星新一のころって、シニカルではあっても、未来(SF)が寓話に成りえた時代であってさ。今は生臭い現実の延長線上にしか未来は想定出来なくって。星新一を新しいものとして読めてしまう現在って実は不幸なのかもしれない。あの1970年代でSF(未来)が実は終わってしまったのかもしれないと思えてしまう現在を生きる僕たちを、星新一が今生きていたらどう描くだろうか。
 しかし、星新一の作品は、レトリックはゼロで(ゼロというレトリックという言い方も出来るけど)、徹底してプロットってのがすごくて、それが反文学としてのSFだったわけだけど、未来も文学もあの時代で一旦終わっちゃったのかなぁって気がする。個々には「証人」のように、その後ビデオが普及した今では成立しないプロットもあるけど、「流行の鞄」なんて、恩田陸の「ドミノ」を思わせる。クールな作風は今の時代と親和性があるのかもな。

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