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Fred Astaire
篠儀 直子

青土社

グループ:Book

ランキング:256134

価格:¥ 2,940

ポイント:29 pt

発売日:2006-10

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カスタマーレビュー

読みやすく、楽しい。  (2007-02-13)
待望の翻訳! 版元と訳者には感謝したいです。
訳者があとがきで書いていますが、アステアの英語は、
明快でテンポ良く、彼のダンスそのものだそうです。
訳文も平易で、まことに面白く読めました。

通常我々が知っている彼は、ジンジャー・ロジャースと組んだ、
RKO時代の約10篇の映画以降。
ですが、本書の前半半分を占めているのは、姉アデールと組んで、
ボードヴィルの子供芸人からミュージカルコメディの若手花形スターへと
一歩一歩上り詰めてゆく過程。
未知の固有名詞のほうが多いけれども、そこはアステアのステップ同様、
語り口の妙が冴えており、ほんとに引き込まれてしまいます。
後半、良く知っている作品や映画人が出て来てからの楽しさは、もう言わずもがな。

ジンジャー・ロジャースとの共演作を見た方はもちろん、
アンソロジー「ザッツ・エンターテインメント」などで、
アステアの踊りのワンシーンでも見た方もぜひ。

もしも、あなたが映画好きならば。  (2006-12-11)
ぜひやってほしいことが2つある。一つはヒッチコック作品を観ること。もうひとつはフレッド・アステア出演作品を観ること。この2つには大きな時代の分岐がある。アステアがまさしく「トップ・ハット」であったミュージカル・コメディ全盛のアメリカでは銀幕はつまり「光」を意味した。そしてヒッチコックが渡米して数々のミステリー映画を送り出し、映画に新しい深みを与えた。その深みとは「闇」。アステア全盛期の作品では実に劇中では「誰も死なない」。そしてヒッチコックでは「誰かが死なないと話にならない」。

このアステアの自伝は、アステア作品を一度も観たことがない(不幸な)映画ファンが読んでも面白くもなんともないだろう。しかし、たったの一度でもアステア作品を観たことがある(幸福な)映画ファンが読めば心からの賛辞を送り、早速もっとたくさんのアステア作品を観たいと思うだろう。

アステアはただひたすらに自らの幸運と幸福を語り尽くす。あらゆる失敗を楽しみ、哀しみを克服する術を持っていた稀有な人物である。それは本書で、彼が一度も一言も誰かの悪口雑言を吐かないことによって証明されている。全てが光そのものなのだ。ゴシップはない。およそ笑顔ばかりで「涙」という言葉すらも出てこない。最愛の妻の死に臨んでも尚、彼は「涙」という言葉さえ使わなかった。そのすさまじい勇気に感嘆する(泣いたほうが本は売れただろうに・・・)。

かつて「ジーン・ケリーは素晴らしい芸を見せた。しかし、アステアは芸ではなく、芸術なのだ」とどっかで読んだ。今、僕は思う。様々な今の映画でアステアのダンスの再現を試みた映画(例えば「マトリックス」の宙を浮かぶカンフーがそうだ)を観る。確かに驚くほど素晴らしい。しかし、あれは「技術」なのだ。アステアは「芸術」だ。

アステアファン必読  (2006-11-13)
スマートで洗練されていて、優しくて、愛すべき心配性であるフレッド・アステア。この本を読んで、やっぱりアステアのファンでよかったなぁ、と思いました。

この本は、アステアが非ミュージカル映画に出演するより以前の、ボードヴィル,ブロードウェイ,ミュージカル映画でのキャリアについて多くのページが割かれていて、特に舞台時代については、スターの座に登りつめるまでの過程や、出演した作品について、かなり詳細に活き活きと書かれています。一方、私たちがよく知っているミュージカル映画については、ファンが知りたいと思うような裏話はあまりないかもしれません。誰に対してもイヤ気分にさせたくない・傷つけたくないという気持ちから、実際にあった深刻な揉めごとや、誰かしらとの確執などにはあえて触れていないのかな、と思います。

「わたしはただ踊るだけだ」、アステアはこの本の最後でこう結んでいます。
彼がどれほど洗練されているダンサーであるかということは、色々な人が色々な言葉や文章で表現していると思いますが、私は、彼のスマートさは、この芸術家ぶらない彼の姿勢から生まれるものではないか、と感じました。

余談ですが、どういう経緯で今になって出版されることになったのか、とても興味があります。1989年に日本でも出版された、ボブ・トーマス著の「アステア ザ・ダンサー」の翻訳者・武市好古さんの講演を聞いたことがあるのですが、武市さんがこの本の日本での出版について、出版社に企画をもちかけたところ、「アステアのような順風満帆にトップになったハリウッドスターの伝記なんて面白くない」と渋い顔をされた、とおっしゃっていました。実際、出版してみると、本の売上げはまずまずだったそうで、この本も、全てのアステアファンの方に読んで頂いて、時代を超えて生のアステアを直に感じて欲しいと思います。

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