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レビュー(Amazon.co.jp)
???ときは60年代後半、四国は香川の観音寺町が舞台だ。ベンチャーズの『パイプライン』に天啓を受けた高校生の「僕」(林泰文)が、仲間とロックバンドを結成し、情熱を燃やし続ける姿をほのぼのと、そしてノスタルジックに描いた青春映画の快作である。
???原作は第105回直木賞を受賞した、芦原すなおの同名小説だ。男の子の繊細な純情を軽やかに描く手腕は、大林宣彦監督作品ならではの味わいである。また、彼にはめずらしく特定のマドンナを設けずにドラマが進められるが、それでも大林映画の常連である柴山智加などの女の子が登場すると、にわかに画面が華やぐのがおもしろい。
???お寺の息子でバンドのメンバーの1人を好演した大森嘉之が、その年の新人賞を総なめした。また、浅野忠信がバンドのメンバーの一員として出演している。(的田也寸志)
カスタマーレビュー 
夢見るように淡く切ない映像美
(2007-11-18)
誰もがまず出だしの音楽に意表を突かれるに違いない。映像も実にあわあわとした、触れれば消えてしまいそうなタッチで一貫している。撮影用ライトはほとんど使っていないようで、夜や室内の場面など粒子が荒れるという徹底ぶり。
爆発的なエネルギーのロック映画を期待した若い人は拍子抜けするだろうか。しかし、初老を迎えた大林監督のアプローチとしては最上のものだったと思う。決していじいじとノスタルジーの世界に閉じこもる映画にはなっていない。印象的な場面は数多いが、海辺のデートを沖合い彼方からクラゲが眺めているシーン、胸をしめつけられるような思いと共に、一方で大林監督の青春現役ぶりを感じてしまった。
年代を問わない呼び覚まされる心の断片
(2007-10-21)
青春映画と言われるジャンルの映像作品は、日本内外問わずに多くあるけども、これだけ60年代という日本の時代感覚、高校生活の空気感、そしてほろ苦い恋愛模様がノスタルジックに描かれた映画少ない。
時代を問わずに愛される青春映画といえば、この大林監督の作品。あなたにとっての高校時代が『過去形』『現在形』あるいは『未来形』のものであったとしても、ロッキング・ホースメンのメンバーたちが味わうロック音楽から啓示をうけたという高揚感には共感できるはず。時々主人公の『僕』がカメラ目線で観客に話しかけるシーンが挟まれていて、なんだかその青臭い言動ににんまりしてしまう。
ベンチャーズはもちろんのこと、ビートルズやチャック・ベリーの楽曲が全編で流れ、音楽好きにはもちろんのこと、音楽にそんなに興味がなくても、彼らの少し滑稽な熱さには、何かしら自分を重ね合わせてしまうものがあるはず。
ほろ苦い恋や恩師を失う悲しみも織り交ぜながら展開し、少しずつ心の面積を拡げていくバンドのメンバーたち。それぞれ個性がしっかりと表現されているので、映画として非常に安定している。ラストシーンの学園祭の舞台で彼らが演奏するJonny Be Goodはすこぶる爽快です。
これが高校生活の理想卿
(2007-08-28)
この映画のすべてが好きである。カットの多いテンポも、話も、なんといっても登場する人物たちの魅力も。
ぼくは芦原すなおさんの原作も舐めるように読んだ。もちろん映画を観た後です。
こんな、映画化をされる原作者は幸福だろうと思う。
どちらも、イコールといって良い程に素晴らしい出来映えである。
ベンチャーズサウンドやビートルズを聴いて過ごしたことのある人は、それだけでも充分に楽しめる価値があるが、それ以上に、この映像で語られている高校生活の理想卿は、映画ならではの至福の時間を与えてくれるだろう。
夏の空気をたっぷりと感じさせるシーンなども、映画の魔術で創られているとは思えない実感を呼び覚ます映像である。
カット数が異常に多い実験的なところが、全くそれを意識させないほどに成功している。
この映画でも尾道ならずといえ、舞台になる香川県観音寺の1965年から68年にわたる四季のうつろう情緒をも、主人公たちロッキング・ホースメンの輝かしい生活とともに、たっぷりと、また切なく味わうことができるだろう。
これは、今の時代の学園生活に失われつつあるもの、そのものがたりを、しっかり提示しているかもしれない。
この吹き替え演奏は割り切るべきだと思いますね。
(2007-06-08)
私が「もしも」この映画のプロデューサーだったら、当然高校生本人に演奏させることは検討するでしょうし、うまくいった場合はそのほうがより大きな成功を得られるということも理解したうえで、「それはわかるけど」やはり吹き替え演奏で撮ると思います。
素人の抜擢で、本人たちへの負担や不安はただでさえ大きく、これ以上の負荷をかけて演奏まで練習させるよりも、演技に集中させたほうが結果がよかったでしょう。そしてその演技や役柄らしさについては、十分な成果となっています。
本人演奏にこだわって、役柄に似合わないけど演奏上必要なキャスティング、なんてことをしてしまうリスクなども考えると、この映画の場合「本人が演奏しているかどうか」は、別の次元で評価してよい。それはまた別の話だと思います。
アクションシーンでスタントマンが演じたか、本人が演じたかは、映画の話題性であって、映画の価値そのものとは別のこと。そういう視線で見て星4つは十分の映画だと評価しました。
うぇっ! あんじゃるぅ〜
(2006-09-26)
主役4人がそれぞれはまり役。
とりわけ世慣れた坊主を演じた大森嘉之が強く印象に残る。
デビュー仕立ての浅野忠信はまだ幼くて真面目である。
他のキャストでは、
引地めぐみ役の、滝沢涼子が強烈。
実際にいそうで怖い。
登場人物が「よい人」ばかりなのは少し気に入らないが、
それ故、作品全体に「懐かしさ」が漂っているのもまた事実。
讃岐の方言を使っていることが、それに拍車をかけている。
私は、こういう映画も好きだ。
思春期の少年、少女を描くことに長けた大林監督の成功作。


